「はぁ〜〜…つまんねェな〜」
特等席であるサニーの頭の上で胡坐をかくルフィは仕切りにつまんないと溢しては項垂れる
その様子を遠巻きから伺っていた本日の船番であるウソップが声をかけた。
「そんなにつまんねェなら降りればいいだろー?」
「そうなんだけどよォ…」
「…ったく、重症だな。サンジに振られたのがそんなに堪えたのかよ」
“サンジ”という名が出た瞬間、肩が揺れたぞ とウソップは心の中で呟く。言葉にしてはいけない。事態が悪化するだろうから。
「…とにかくだ
其処で鬱々とされてちゃコッチも気分が滅入っちまうだろ…?」
「ひっでェぞウソップ!俺は傷ついてんだぞっ!?ショウシンチュウなんだぞっ!?!!」
「あー、そうだなそうだな。
そういう時は気分転換だ!さっそく街の中うろついてこい!
特別に俺様のポケットマネー少しわけてやるからっ
……ほんの少しだけどな。」
そういうとウソップは言葉通りなけなしのお小遣いをルフィの手に握らせ無理やり船から降ろした
「…仕方がねェ、行くかぁ〜。」
事実上 船から追い出された形となったルフィは渡されたお小遣いに目を遣り、軽く肩を落としながら街へと歩き出した。
――――
サンジのコトが誰よりも一番好きだと伝えたのは今日より4日前の事。
最初は冗談だバカにしてんのかオロすぞクソザルと罵れる限りを尽くしたサンジだったが、どんな罵りや脅しにも負けじと応戦するルフィの真剣な想いに最終的にはほだされてしまっていて。
――好きとはまだ言えねェ。…けど、お前のコトは嫌いじゃねェから…
女性至上イコール男嫌いなサンジにしては随分と好感触な返答が返ってきて、単純にルフィは想いが通じたのだと喜んでいた。
そして本日は久々の島上陸。
せっかくなら二人で出掛けたい。サンジのことだ、食料補充のために買出しにいくだろうから荷物持ちでもいい。とにかく一緒に居たい。
そう思って、続々と船を下りていくクルーを横目にサンジへ声をかけたんだ。
『なぁサンジー、買出しいくんだろう?』
『あぁ、そうだ。それがどうかしたか?』
『だったら俺も一緒にっ』『却下。』
『えぇえ?!』
サンジ曰く、お前がいると余計な失費が増えるから、だそうだ。島に着く間、特になんの事故も襲撃もなく無事な航海が続いたので損害はなかったものの、勿論利益もナシ。
そろそろ一攫千金当てないとこの船、火の車…いえ船だったわね…。と顔色を悪くした航海士が言っていたのを思い出す。
『ついでにこの島でなんか金になりそうな話も聞いて来るつもりだ。てめェが居たら十中八九トラブル起こしてそれどころじゃねェだろうからな』
『お、おとなしくしてりゃいいんだろ?そんくれー俺にも出来る!』
『ははっ、ムリムリ
そんじゃお前はせいぜい大人しくしてろよー』
『あ、サンジ!!』
そう言って、サンジはさっさと船を降りていってしまったのだ。
――――
「…なんだよサンジのヤツ。
俺だって、大人しくしてろって言われたら出来るんだからな…!トラブルばっか起こすって、そんなに起こしたつもりは………つもりは……。」
ない!と断言できない辺りが非常に切ない…。
再びガックリと項垂れるルフィ。いつのまにか街の中心街に着いていたらしく、周りは多くの人々で賑わっている。治安は良いのか、人々の顔には笑顔が浮かんでいた。
それが今のルフィには妬ましく感じた。出店から漂う美味しそうな香りも、今日ばかりは興味をそそられない。食欲が沸かない。
「どうすっかな〜…。」
雑貨屋らしき軒先の隅に腰を下ろして、暫く街の様子を眺めていることにした。
何気なく視線を動かしていると、一人の男が二人組みの街娘らしき女に声をかけている姿が飛び込む。わずかに鼻の下を伸ばした男は困り果てている女達にしきりに声をかけていた。
あぁ、ナンパか…。と、その様子を興味なさげにみていたルフィは、自分の意思とは勝手にとあるメロリンエロコックの姿とあの男を重ね合わせていた。
「そういや、サンジも新しい島に着たら必ずナンパしてたよな…
今日も、どうせしてんだろうなぁ〜〜………」
あ、ちょっとムカついてきた。
そりゃ、ナンパ癖のあるサンジもまたアイツの面白いトコだから仕方がない。仕方がないが、なんだか腹が立つ。
「そんなにナンパって楽しいもんなのかー?」
考えれば考えるほど、イライラが増えていく。振り払おうとしても簡単に消えてくれない。
ああ、もう面倒くさい。
「お、そうだ。
俺もナンパしてみりゃ分かるかもしんねェな…
よしっ!」
お門違いな解決案を見つけてルフィは勢いよく立ち上がる。
果たして人生初となる女性を口説く行為…通称ナンパは成功するのであろうか?
サイトをやるに当たって、おそらく一番最初に書き始めたLS小説です。
もしもルフィがナンパに興味を持ったら、どうなんでしょうか。…やっぱり、モテモテ?